316 慕い求める ― 自己を離脱することを

作者不詳

1.わたしは恵みを受け, 恵みを与えるようになりました。
  何とあわれなこと! わたしは自分でそれを知りました!
  わたしは何と自分の分を越えていることでしょう!
  自分で感じ,自分でしっかり覚えています!
  わたしは神の御前に生きていると思っていながら,
  自分は敬虔であると,ひそかに称賛しています!

2.わたしの一生は試練に満ち,
  その醜さは普通の人が耐えられないほどです。
  人はわたしの苦しみを知りませんが,
  わたしは自分が強靱であることを知っています。
  わたしは自己を捨てたと思っていますが,
  自分の経験を忘れることができません!

3.わたしは満ちあふれる恵みを受け,
  地上に自分のような人はいないほどであると知りました!
  わたしの身の上でも,わたしの心の中でも,
  わたしは神の働きを見いだすことができます!
  わたしにおける神の働きを,
  わたしは何と観賞するかを完全に知っています!

4.わたしは自分が持っている極みを知り,
  自分のすべての善,義を知っています。
  知らず知らずのうちにわたしは自分を誇り,
  中心を神から自己に移しました。
  わたしの手にあるのは翌日のマナであり,
  すでに腐り始め,駄目にされていました。

5.友が来てわたしを慰め,わたしの苦しみに対して同情を示す時,
  わたしの高ぶりはもはや隠されず,
  わたしの忍耐はすぐ空にされてしまいます。
  わたしは普通の人のように失敗し,
  自分の生まれた日をのろい,真の状態があらわになります。

6.神よ,わたしはあなたがおられることを伝え聞き,
  あなたを語り,あなたを論じることはすべてできます。
  しかし,わたしの堕落した自己は,
  いまだにあなたによって何も変えられていません。
  わたしはあなたが与えられたものをもって自分の高ぶりを強め,
  あなたの恵みによって自分を高めました。

7.しかしわたしは今,間近にあなたを見て,
  あなたの聖がわたしの汚れをあらわにし,
  あなたの光がわたしを崩れさせ,
  あなたの栄光がわたしに悔いさせ,ひどく悔いさせます。
  どうして自分に対してこれほど夢中になっているのでしょうか?

8.何と恥ずべきことでしょう。何と恥ずべきことでしょう。
  あなたの恵みで自己を飾り,
  あなたの働きを利用して自己を高めます。
  すべての動機で卑しくないものは一つもありません。
  わたしの失敗は収拾がつかず,
  わたしの勝利はさらに恥ずべきものです。

9.わたしが高ぶることができるとは,何と恥ずべきことでしょう!
  わたしはこれほど愚かになれたとは,何と盲目なことでしょう!
  汚れを聖いと思い,肉をすばらしいものと思いました。
  自分を義とするとは,わたしは何と無知でしょう!
  わたしはどれほど栄光を盗んで自分に帰したことでしょう!

10.あなたはわたしが何と腐敗しているかを早くも知っておられました。
  しかし,わたしは少しもそのことを知りませんでした。
  自己は頼りになると思い,
  それはいかに恥ずべきことか,知るよしもありませんでした。
  主よ,わたしを救い,
  今日わたしのためにこの縄目から解いてくださいますように。

11.主よ,わたしの心の願いは,ちりの中に伏し,
  わたしの身に灰をかぶり,わたしの堕落を悔いることです。
  わたしは恥ずかしくて,恥ずかしさが尽きません。
  わたしはこのように腐敗した心を持っているのです。

12.わたしの言葉は何と不正確で,わたしの命は何と浅はかでしょう。
  わたしの了見で汚れないものはなく,
  わたしのすべてでいとわなくて済むものは一つもありません。
  わたしは今わたしの自己を忌み嫌います。
  主よ,わたしの望みはあなたにあります。

(歌詞/全訳 切り替え)

[前の詩歌]<<>>[次の詩歌]