465 十字架の道 ― 実を結ぶ道 (英635詩)

Watchman Nee

1.わたしたちは今ぶどうの一生の事を考えてみましょう。
  その道は決して容易ではなく,その環境も安逸ではありません。
  その成長は野生の野の花のように,
  どこでも自由,気ままに花を咲かせたりしません。
  生育の道は迷路のように曲がりくねって,
  成長の様式もさまざまなものではありません。

2.その反対に,ぶどうが咲かせた花はとても小さく,花がないようです。
  人は,ぶどうが花を咲かせたのを,
  ほとんど見分けることができません。
  花がまだ一日も咲いていないのに,すぐにも実を結び始めます。
  鮮やかな花となることも,華麗な姿を自ら誇ることもできません。

3.彼はくいに縛られて,自由に成長することができません。
  枝を伸ばし腕を広げても,やはり棚に縛られています。
  彼はこのように土の中から,彼を生きさせる栄養を吸収します。
  自由に選ぶことはできず,困難に遭っても逃げることはできません。

4.そうです,緑の衣が美しく,春の地のうららかさを受けます。
  命の豊かさのゆえに,自然に余りある成長をしました。
  全身が柔らかい枝,細いつるで満ちて,
  四方に漂い,絡みつき始めます。
  青い空の下で,無限の甘さを味わいます。

5.しかし園主,園丁は,彼に対して何の容赦もしません。
  剪定のために刈り込みのはさみやナイフを持ってきて,
  彼の高ぶりをはぎ取ります。
  彼の枝の柔らかさを少しも顧みず,彼を深く,的確に刈り込み,
  すべて余計な美しい穂は,ことごとく切られ打ち砕かれます。

6.彼は損失の期間に,自己憐びんをせず,
  むしろ自分をさらに完全に徹底的に,
  すべてはぎ取り,彼を空にする御手に明け渡します。
  彼は日々を無駄にしません。それはすべて実を結ぶためです。

7.血を流したそれらの枝は,ますますしっかりした木質に変わります。
  刈り残された穂も,ようやくるいるいと実を結びます。
  太陽は照り続けて,彼を枯れさせるように迫り,
  彼の葉は枯れ始めて四方に散り落ち,
  その実が紫色に盛り上がり,やがて収穫の日に至ります。

8.彼は重すぎる荷を負うゆえに,垂れ下がらない枝はありません。
  これは長い期間の努力,試練を受けたからです。
  今や実が真に美しく実り,
  もちろん彼は歓喜し,自らを慰めることができます。
  しかし収穫がもうすぐ来ます。慰めの日は何と少ないことでしょう!

9.手が摘み取り,足が踏みつけ,
  ぶどうのすべての豊富は圧搾の上にあります。
  やがて豊富で,血のように真っ赤なぶどう酒が,
  長江の大河のように広大で果てしなく,
  終日あふれ流れてやまず,喜びが大地に満ちるに至ります。

10.しかしぶどうの様は,裸でみじめです。
  すでにすべてを与え,また暗い夜に入ろうとしているのに,
  彼が供給した甘い酔いの喜びに対して,だれも彼に償いをしません。
  かえって彼を再び刈り込み,枝のない幹とならせます。

11.しかし真冬の間,彼というぶどう酒はかえって,
  あの寒さの中にいる憂うつと悲しみの人々に甘さを与えます。
  しかし,ぶどうは外にあって,孤独の中で氷雪の寒さを経験しており,
  堅く立ってすべてを耐え忍び,
  すべては疑わしく,理解しがたいのです!

12.寒い冬が過ぎると,彼はまた実を結ぶ用意をし,
  新たに新芽と枝をはえさせ,再び緑を解き放つ姿になります。
  過去に受けた苦難のゆえに,心の中に不平と不満はありません。
  無限に失ったゆえに,献身を減らそうとすることはありません。

13.彼のあらゆる呼吸は,高い天の清い息であり,
  清くない地の感情にいささかも汚されるものはありません。
  犠牲に面と向かっても,なおもほほ笑み,
  再び前に進んで愛の剥奪と削り取りを受け入れます。
  まだ一度も損失,苦痛,試練を受けたことがないかのようです。

14.ぶどうは肢体の枝から,ぶどう酒を流し,血を流し,液を流します。
  捨て尽くすことによって,彼はさらに貧しくなるのでしょうか?
  世の酔い人,人生の流浪者たちは,
  彼から痛飲し,彼によって楽しみましたが,
  幸福を享受したことで,彼らはさらに裕福になったでしょうか?

15.命を量る原則は,
  失うことによるのであって,得ることによるのではありません。
  どれほどぶどう酒を飲んだかを見るのではなく,
  どれほどぶどう酒を注いだかを見るのです。
  なぜなら,愛の最大の力は,愛のゆえに捨てることにあるからです。
  苦しみを最も深く受ける人は,人に最も供給することができます。

16.自分を最も酷に扱う人は,神に最も選ばれやすい人になります。
  自分を最も残忍に傷つける人は,人の涙を最もぬぐうことができます。
  損失,剥奪に熟練しない人は,
  鳴り響く鐘や騒がしいシンバルにすぎません。
  自分を救うことができる人は,極みまで喜ぶことはできません。

(歌詞/全訳 切り替え)

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